題詠2009

080:午後(都)

午後一でお伺いいたしますと言う 落ち葉を踏んで今日も天気だ

079:恥(都)

コートを脱ぎ絵葉書のとなりに目に映る我の代わりに恥じ入る秋桜

078:アンコール(都)

マンションの窓枠のなかに降りに降る アンコールしたい流星の舞

100:好(都)

好もしい気持ちを育ててある一線越えあふれるまでじっとその時を待つ

099:戻(都)

戻せないことを何百万遍も思うな 先を見据えて進め

098:電気(都)

窓下に虫の音聞きつつ電気なく暗闇のシャワー冷えは染み入る

097:断(都)

断言を避けたいひとりときっぱりと言い切るひとりと はいスタート

096:マイナス(都)

ふたりしてどんなマイナスポイントを互いに見合う覚悟はあるか

095:卓(都)

円卓についておのおの一年の来し方往き方語りつ飲みつ

094:彼方(都)

彼方から君の応援届いてるよ 君のスペースはいつでもあるよ

093:鼻(都)

向かい合いその鼻をきゅっとつまみたい衝動押さえてココアを飲んだ

092:夕焼け(都)

夕焼けをひさびさに見たという君は赤い眼鏡を掛けていたのね

091:冬(都)

冬が来て人恋しさに閉じ込められ・・そうなる前に脱出しよう

090:長(都)

思い返す 長の休みを取る彼の含み笑いや物腰なんか

089:テスト(都)

なにもかもテストで白黒つけたならこのもやもやはどこ吹く風か

088:編(都)

ここからが第二編です 心してあなたのささいな方言聞きます

087:気分(都)

週末は気分を着替えて会いに行く イメトレするもそうはなかなか

086:符(都)

秋が来てときどき見失ってしまう ふたりの和睦を示す符牒を

085:クリスマス(都)

カウンターに並んで座り元彼への未練を聞いた あれはクリスマス

084:河(都)

視界すべてしろく濁った大河としじっとボートに座り込んでた

083:憂鬱(都)

ぬかるみのように足元沈みゆく恐ろしいのはそんな憂鬱

082:源(都)

いまここにいる私の源はあなたの笑顔と胸刺す後悔

081:早(都)

言ってみたいわがまま1位は「今すぐ来てドクターヘリより早くきてよね」

077:屑(都)

星屑を隠して運ぶ秋の雲 そちら側には虹も架かるの

076:住(都)

ああここはあなたの住む街流れゆく駅名表示見えなくなった

075:おまけ(都)

いくらでも集めたらいい でも僕はおまけだったらもう要らないから

074:肩(都)

その肩にちょっとは重みをかけてよい? 今日はなんだか荷物が重くて

073:マスク(都)

頬なでる風は心地よさを増してマスクの似合う季節になった

072:瀬戸(都)

あの時にひりひり感じた瀬戸際はあんがい調整自在だったり

071:痩(都)

怖いのは知らず知らずにこの気持ちが痩せ細っていくそんな想像